AIアライメントとは?AIの暴走を防ぐための重要なステップ
- 2024.02.27
- 用語解説
AIアライメントとは、AIシステムの目的と人間の価値観を調和させることです。
AIの開発競争が加速する中、AIの性能が向上するにつれ、AIが人間の意図と異なる行動をする問題が生じる可能性があります。このAIの暴走問題を解決するため、AIアラインメントが注目されおり、人間が望む方向にAIが進むように設計することを指します。
最近のAIの発展とともに、アライメントの重要性が高まっています。大規模な言語モデル如き強力なAIシステムが出現し、その振る舞いを人間の価値に沿うように誘導することが課題となっています。
具体的なアプローチとして、信頼性の向上、解釈可能性と透明性の実現、制約の設定などが研究されています。例えば、大規模言語モデルに人間の価値を学習させる研究や、出力を人間が評価しフィードバックする仕組みの研究などが最新の動向です。
https://gigazine.net/news/20231215-openai-superintelligent-ai/
AIの性能が急速に向上している
近年、AIの性能は急速に向上しています。これにより、AIが人間の能力を超える可能性があるという懸念が高まっています。AIが人間のコントロールを逸脱し、人類に危害を加える可能性も考えられます。
2023年は、OpenAIの躍進とそれに追従するように各企業のLLMの乱立、そして、限定的ながらAIのカスタム化の間口が広がり、AIの発展のコントロールは、開発者の手から離れようとしています。
AIアライメントに関する研究が活発化している
AIの潜在的なリスクを回避するために、AIアライメントに関する研究が活発化しています。AIの設計や運用方法を工夫することで、AIを人類の価値観や倫理観に沿って適切に行動するようにすることが目指されています。
先の記事で取り上げたAnthropic社のClaude’s Constitutionはその顕れであり、以前からAnthropic社は「AI憲法 Constitutional AI」を進めてきました。
AIアライメントに関する国際的な議論が進んでいる
AIアライメントに関する国際的な議論も進んでいます。
AI安全サミット開幕 最先端AI “対応急務”とする宣言採択 | NHK | 生成AI・人工知能
世界初「AI安全サミット」イギリスで開幕 最先端AIのリスク管理を協議 | TBS NEWS DIG (1ページ)
AIアライメントの取り組み
技術革新: 研究者やエンジニアは、AIシステムが与えられた目標や指示に沿って行動するように設計する方法についてさらに探求しています。特に、AIが倫理的な問題や利用者の意図に合致するようにする方法に焦点が当てられています。
説明可能性と透明性: AIの意思決定がどのように行われるかを説明できるか、透明性が求められています。これは特に、医療や法律などの領域で重要視されています。AIの意思決定の根拠を説明できることは信頼性を高める要素となります。
倫理的な枠組みと規制の構築: 多くの国や組織が、AIの使用に関する倫理的なガイドラインや法的な枠組みを整備しようとしています。これは、個人のプライバシーや公正性などの重要な側面を保護するためです。
多様性と公平性: AIシステムの開発者が多様な背景や視点を持つことは重要です。これによって、アルゴリズムが特定の集団に対して偏った結果を出すリスクを低減できます。
長期的影響の考慮: AIシステムが将来的な社会や経済への影響をどのように持つか、その長期的な影響を考慮することが重要です。技術の導入が社会に及ぼす潜在的な影響を予測し、適切な対策を講じることが求められています。
世界での合意
2023年12月現在、AIアライメントに関する核心的な合意はないと言ってよいかと思います。
国際会議での方針・宣言などから、あるいは企業や、開発チームでの開発方針や規則、原則といった文書などは多数にあります。先のEUのAI法や、米国の法規制など、AIでのイニシアチブを取るための競争に飲まれているように見えます。
それぞれAIアライメントの目指すところは概ね同じであり、あえて形にすることは不要であり、合意ではなく枷になるというのが現在のAI開発の潮流なのでしょうか。
今後、世界的な合意が形になる、膨大な意思の総意が収束し形になるその時が来るのでしょうか。
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