GPUの覇者であるクラウドAI市場におけるNvidiaのDGX Cloud

  • 2024.02.27
  • AI
GPUの覇者であるクラウドAI市場におけるNvidiaのDGX Cloud

Nvidiaは、AIの学習や推論に欠かせないGPUの世界最大手です。AI向けプロセッサー市場に限れば、世界シェアは8割とも言われます。Nvidiaは、クラウドベンダーにGPUを多数供給しており、クラウド大手はいわば「お得意様」です。NvidiaでAI向け半導体などを担当するデイヴ・サルヴァトール・ディレクターは「我々の(AI関連の)ビジネスの半分以上がクラウド向けだ」と語ります。

しかしNvidiaは自社のAI技術をクラウドベースで提供する「DGX Cloud」を発表しました。これにより、エヌビディアはクラウドベンダーと競合する可能性がありますが、同時に協力する関係にもあります。

Nvidiaがクラウドサービスに参入した理由は、顧客のニーズに応えるためです。8年ほど前に「DGXプラットフォーム」と呼ぶAI開発基盤をスタートしましたが、その時点で顧客の多くはデータの大半を置く(オンプレミスの)自社データセンター上でAIを開発したいと考えていました。今は多くの顧客がクラウド上で開発をしており、(DGXを使った)同様の体験をしたいと要望してきました。

Nvidia

Nvidiaは、AI(人工知能)やゲーム、自動運転などの分野で高性能なGPU(画像処理半導体)やソフトウェアを開発する米国の企業です。最近のNvidiaの主な動きは、以下の通りです。

  • 2023年11月15日、2024年度第3四半期の決算を発表しました。売上高は前年同期比206%増の181.2億ドル純利益は前年同期比267%増の64.8億ドルで、ともに過去最高を記録しました。
  • 2023年11月13日、次世代のAIスーパーコンピューター「JUPITER」を発表しました。JUPITERは、Nvidiaの新型チップ「Grace Hopper」を搭載し、科学的発見のためのAIを加速させることを目指しています。
  • 2023年11月17日、NvidiaとDropboxは、協力して、Dropboxの顧客にパーソナライズされた生成AIを提供することを発表しました。Dropboxは、NvidiaのAI Foundryを利用して、自社のAIツール「Dropbox Dash」や「Dropbox AI」を強化する予定です。

DGX Cloudの特徴とメリット

DGX Cloudは、Nvidiaが「DGXプラットフォーム」と呼ぶAI開発基盤に含まれるサービスです。DGX Cloudは、NvidiaのAI技術をクラウドを通して提供するものです。DGX Cloudの特徴は、以下の通りです。

  • 最先端のGPUを搭載したインスタンスを提供します。GPU「A100」を利用する場合の料金は月額3万6999ドルからです。
  • 開発者向けのAIワークフロー管理用SaaSである「Base Command Platform」を搭載します。Base Command Platformは、AIモデルの学習やチューニング、デプロイなどを効率的に行うことができます。
  • NvidiaのAIエキスパートによる技術支援を受けられます。Nvidiaは、AIの専門知識やベストプラクティスを提供することで、顧客のAI開発をサポートします。

DGX Cloudのメリットは、以下の通りです。

  • DGX Cloudで学習させたAIモデルは、どのクラウドにもオンプレミスにも簡単にデプロイできます。特定のインフラにしばるようなことはしません。
  • DGX Cloudは、インスタンスの複雑なセットアップや管理を必要としません。AIを開発する企業がインフラ周りで心配する必要は何もありません。
  • DGX Cloudは、世界中で枯渇しているGPUサーバーにすぐにアクセスできるというメリットもあります。GPUの需要が高まる中、DGX Cloudは、AI開発者にとって貴重なリソースとなるでしょう。

クラウドAI市場に革命を起こすDGX Cloudの事例

DGX Cloudは、生成AIやその他の画期的なアプリケーションの開発に必要なインフラストラクチャとソフトウェアを提供するAIスーパーコンピューターとして、クラウドAI市場に革新的な動きをもたらしています。DGX Cloudを活用する企業の事例は、以下の通りです。

  • バイオテクノロジー分野では、米国のモダナ社がDGX Cloudを利用して、新型コロナウイルスのワクチン開発を加速させました。モダナ社は、DGX Cloudを使って、数百万の分子をスクリーニングし、最適なワクチン候補を選び出しました。DGX Cloudの高速な計算能力とエヌビディアのAIエキスパートの支援により、モダナ社は、わずか2か月でワクチンの臨床試験に進むことができました。
  • 保険技術分野では、日本のSOMPOホールディングスがDGX Cloudを利用して、自動車保険の料金設定を最適化しました。SOMPOホールディングスは、DGX Cloudを使って、膨大な走行データや事故データを分析し、個々のドライバーのリスクプロファイルを作成しました。DGX Cloudの高精度なAIモデルとエヌビディアのAIエキスパートの支援により、SOMPOホールディングスは、個別化された保険料を提供することができました。

まとめと結論

この記事では、エヌビディアがクラウドサービスに参入したことによるクラウドAI市場の変化について、詳しく解説しました。エヌビディアは、自社のAI技術をクラウドベースで提供する「DGX Cloud」を発表しました。DGX Cloudは、AI開発者にとって使いやすく、高性能なAI学習用の総合サービスです。すでに、バイオテクノロジーや保険技術などの分野でDGX Cloudを活用する企業が現れています。DGX Cloudは、生成AIやその他の画期的なアプリケーションの開発に必要なインフラストラクチャとソフトウェアを提供するAIスーパーコンピューターとして、クラウドAI市場に革命を起こしています。