【エッジAI】GPUメーカーが作る自立型ロボット【NVIDIA Jetson】
- 2024.02.27
- AI
NVIDIA Jetsonは、エッジAIの推論処理を行うためのモジュールです。エッジAIの開発とデプロイメントを容易にするために設計されており、IoTアプリケーション、自動運転車、監視カメラなどの様々な業種で活用されています。
現在AI開発の波にのり、爆発的に儲けているNvidiaですが、ロボティクスの分野においても、自律マシンを開発するスタートアップでの導入が増えており、AIの発展には常にその存在が見えています。
過去、SF等のロボットの反乱は、超高度なCPUの延長と思われていましたが、近年ではGPUの群体(クラウド)によるAIへと、想像の容が変化しています。
LLMのようにニューラルネットワークへ与えられたデータをぶち込み続けるAIは、GPTの怠けのニュースのように不安定で、しかしながら監視の目が入りやすい状態です。
つまり、AIが人知れず人類を制圧するためのマザーを形作るのは、エッジコンピューティングが群体を生成したエッジAIクラウドがひそかに組みあがった時なのでは!?
エッジAIとは
エッジAIは、エッジコンピューティング環境、つまり現場のネットワーク末端にコンピュータやセンサーなどのデバイスを配置し、そこで推論処を行う技術です。これにより、データをクラウドに送る前にデバイス自体で処理や判断を行うことが可能になります。
エッジAIのメリットとしては、以下があげられます。
- リアルタイム性:ネットワーク遅延を回避できるため、より高速な処理が実現できる
- プライバシー保護:データをクラウドに送信する必要がないため、セキュリティが向上する
- コスト削減:通信コストやクラウド利用料を抑えられる
主な用途としては、工場やインフラ設備での異常検知、監視カメラにおけるリアルタイム画像認識、自動運転車両での意思決定などが研究されています。
NVIDIAがJetsonシリーズなどのエッジAI向けチップ・ボードを発売しているほか、ArmもEthos-UシリーズなどのプロセッサでエッジAIを強化しています。OSではLinuxベースであるUbuntu Linuxが対応を強化するなど、エコシステムが整いつつあります。今後も5GやWi-Fi 6以上の通信規格と組み合わせた、スマート IoT社会を支える重要技術として発展が期待されています。
NVIDIA Jetson
NVIDIA Jetsonはロボティクス分野においての主力商品の一つ、H100がLLM市場のキーアイテムのように、ロボティクス業界でも注目のアイテムです。
NVIDIA Jetsonは、同社のGPU技術を利用したエッジAIコンピューティングプラットフォームです。低消費電力かつ高性能なinferencingを実現することで、自律型ドローン、ロボット、自動運転車などの組み込みシステム向けに最適化されています。
最新世代のJetson AGX Orinが2022年11月に発表されました。12nmプロセスのAmpereアーキテクチャGPUを採用し、前世代比で最大8倍のAI性能を実現。6カメラ入力とAV1エンコードに対応するなど、自動運転車・ロボット向け機能が強化されています。
また、NVIDIAはJetsonと連携するソフトウェアスタックも充実。Jetpack SDKにはTensorRTやDeepStreamなどの最適化ミドルウェアに加え、IsaacシミュレータやFlox AIウェアハウスなどが含まれます。開発を高速化できるのが特徴です。
競合としてはGoogleのEdge TPUやIntelのMovidiusなどがありますが、NVIDIAはGPUアーキテクチャの蓄積とソフトウェア資産を活かした豊富なラインナップでリードしているのが現状です。自動運転分野をはじめとする組み込みAIの普及に大きな役割を果たしていきそうです。
エッジAIの進化
エッジAIの進化には、コンパクトで省電力ながら高性能なチップセットの開発が重要です。これにより、小さなデバイスでも強力なAI処理を実行できるようになります。
今後のエッジAIの進化は以下のように考えられます。
- モデルの最適化と軽量化:エッジデバイスではリソース制約があるため、AIモデルを最適化して軽量化する取り組みが盛んです。小さいモデルでも高い精度を維持しつつ、リアルタイムでの処理を可能にすることが焦点です。
- プライバシーとセキュリティの強化:エッジAIでは、データがデバイス内で処理されるため、プライバシーとセキュリティの保護が重要視されています。エンドツーエンドの暗号化や、データの匿名化などの技術が注目されています。
- エッジAIの応用分野の拡大:製造業、ヘルスケア、スマートシティ、農業など、さまざまな分野でエッジAIが活用されています。これらの分野での実用化や新たな応用例の開発が進んでいます。
エッジAIへの妄想
現在エッジAIは、ロボティクス分野のごく限られた目的にのみ、学習と発展をしています。しかしその尖鋭化が、いつどこで、クラウドのようなマザーと結びつくのか。
SFとして、頭脳への監視はしていたが、知らぬ間に手足を生やして未知の化け物になっていたというオチの、「手足」にあたるのがこのエッジAIな気がしてなりません。
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