【AI用語解説: エンベディング】計算機で言葉を扱うってどうゆうこと?

【AI用語解説: エンベディング】計算機で言葉を扱うってどうゆうこと?

大規模言語モデル(LLM)は、コンピューターの癖に、人の言葉を理解し、使いこなしています。極端な話0と1の電気信号がなぜ言葉を扱えるのかと疑問に思ったので調べました。

どうも人間が日常的に使用する言語をコンピュータに理解させる研究は、自然言語処理(NLP)という分野であり、その中で言葉や、文章を計算可能な形に変換することをエンベディングといいます。

今回はエンベディングに関して調べたことをまとめます。

エンベディング Embedding

エンベディングEmbedding単語の埋め込み – Wikipedia 

Embed:埋め込む、はめ込む、もっと見る

エンベディングは、テキスト、画像、音声などのデータを数値ベクトルに変換する技術です。これにより、機械学習モデルがデータを理解しやすくなります。例えば、単語を数値ベクトルに変換することで、意味的な関連性や類似性を捉えることができます。

「ベクトルに変換する」とは、単語をコンピュータが扱うことができる数値情報として扱うということです。たとえば最も簡単な2次元(X,Y)の表で2つの点(P)と(Q)を扱うとき、点P(X=1,Y=1)と、点Q(X=2Y=2)の2点とすれば、それぞれの座標がわかり、それぞれの距離を数値化できたりします。

「意味的な関連性や類似性を捉える」とはこれの次元数(XやY)をより多くし、超複雑な多次元にしたとしても、ベクトルとして計算でき、その結果、単語や文脈の距離が近い単語はベクトル空間上で近くにエンコードされます。このように「ベクトルに変換する」ことで意味的な関連性や類似性を捉えることができます。

エンベディングの実用例

エンベディングは、機械学習のさまざまな分野で利用されています。自然言語処理では、単語や文の意味を表現するためにエンベディングが用いられます。これにより、検索機械翻訳チャットボットなどのアプリケーションが実現されています。また、画像認識では、画像内の特徴を表現するためにエンベディングが用いられます。これにより、物体検出顔認証などのアプリケーションが実現されています。

自然言語処理(NLP)における最新のエンベディング手法には、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)GPT(Generative Pre-trained Transformer)、RoBERTa(Meta AIによって開発された自然言語処理の言語モデル。フローレンシアの狂犬じゃないよ)などがあります。これらは、大規模なデータセットで事前に訓練されたモデルで、膨大な量のテキストデータから言語の理解を学習します。

画像に関しては、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によるエンベディングが一般的です。また、音声に関しても、WaveNetやTacotronなどのモデルが音声エンベディングに使用されています。

さらに、最近では多くの研究が、異なるモダリティ(例えば、テキストと画像、テキストと音声など)のエンベディングを組み合わせて、さまざまな種類のデータ間で意味的な関係を理解する手法に焦点を当てています。

エンベディングの主な使い方

自然言語処理(NLP)におけるテキストエンベディングの使い方:

  • 単語埋め込み(Word Embeddings):テキスト内の単語を数値ベクトルに変換します。例えば、単語の意味的な関連性や文脈を捉えるためにWord2Vec、GloVe、BERTなどの手法が使われます。
  • 文章埋め込み(Sentence Embeddings):テキスト全体を数値ベクトルに変換します。これにより、文章全体の意味を表すベクトルを得ることができます。BERT、GPT、Doc2Vecなどが使われます。

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による画像特徴抽出

  • 画像を数値化した特徴量を抽出します。これにより、画像のパターン、輪郭、色彩などを理解することが可能になります。
  • これらの特徴量は、画像のクラス分類、物体検出、画像の類似性検索などに利用されます。

音声特徴量抽出

  • 音声波形を数値化した特徴量を抽出します。これにより、音声の周波数、音の長さ、音の強さなどを数値ベクトルで表現します。
  • これらの特徴量は、音声認識、話者識別、音声からの情報抽出などに利用されます。

エンベディングは、データの抽象化や理解を容易にし、機械学習モデルの性能を向上させるのに役立ちます。特に、異なるデータソース間での意味的な関連性を捉えたり、パターンを抽出したりする際に重要な役割を果たします。

  • 機械学習モデルの入力特徴として利用: エンベディングを入力層に設定し、分類や回帰などの下流タスクを学習させる
  • 類似度算出による検索・推薦:入力データをエンベディング空間に変換し、コサイン類似度などで近いエンベディングを検索する
  • クラスタリング:エンベディング空間上での距離に基づき、データを自動的にグルーピング
  • 次元削減:エンベディング次元を圧縮することで、可視化や計算コストの低減が可能
  • 転移学習: 事前学習したエンベディングを新しいタスクで微調整することで効率的に適用
  • 多モーダル学習: 画像とテキストなど、異なる入力データを共通の潜在空間にマッピング

エンベディングの最新動向

  • 大規模なデータセットを用いたエンベディングの学習: 例えば、Google が公開している「BERT」や「GPT-3」などの大規模な言語モデルは、膨大な量のテキストデータを用いて学習されています。これらのモデルは、単語や文の意味をより正確に表現できるようになり、自然言語処理のさまざまなアプリケーションの性能向上につながっています。
  • 生成方法の進化: 従来のエンベディングの生成方法では、単語の周囲の単語の情報を用いて単語ベクトルを学習していました。しかし、近年では、単語の意味や文脈をより正確に表現するために、機械学習のさまざまな手法が用いられています。例えば、Transformer と呼ばれる手法は、言語モデルの学習に用いられる手法ですが、エンベディングの生成にも用いられています。
  • 応用範囲の拡大: エンベディングは、自然言語処理や画像認識などの分野で広く利用されていますが、近年では、音声認識や機械学習の分野でも利用が拡大しています。例えば、音声認識では、音声の特徴を表現するためにエンベディングが用いられています。また、機械学習の分野では、エンベディングを用いて、データの特徴を抽出したり、クラスタリングしたりするなどの処理が行われています。

エンベディングは、機械学習のさまざまな分野で重要な役割を果たしています。今後も、エンベディングの研究開発が進み、さまざまな分野で新たなアプリケーションが実現されることが期待されます。

実例

  • Transformerをベースとしたself-supervised学習によるエンベディング:BERTやGPT-3などのプリトレインモデルが登場し、転移学習によってタスク依存のエンベディングを効率的に学習できるようになっています。
  • マルチモーダルエンベディング:画像とテキストなど、異なるモダリティのデータを共通の潜在空間にエンベディングする研究が進んでいます。
  • グラフ神経ネットワークを用いたエンベディング:関係性のあるデータをグラフとして表現し、エンベディングを学習する手法が注目されています。
  • 解釈可能なエンベディング:エンベディングの各次元がどのような意味を持つかを解釈する研究が進められています。

このほかにも、コンテキストや時系列性を考慮したエンベディング、実世界の物理シミュレーションとの統合など、応用の幅が広がっています。

まとめ

エンベディングとは、テキスト、画像、音声などのデータをコンピュータでも扱えるよう数値ベクトルに変換すること。

以上。