【EU、AI包括規制案】世界のパワーバランスを担うAI【AI Act】
- 2024.02.20
- AI
2023年12月9日、欧州連合(EU)の加盟国と欧州議会は、EU域内でのAIの開発・利用を規制する「AI法案(AI Act)」について、大筋合意に達しました。この法案は、AIの潜在的なリスクと影響のレベルに基づいて、AIに対する義務を定めるものです。
法案に関する最新動向は、欧州連合日本政府代表部のサイトに当代表部作成資料「EU AI規則案の最新動向」(2023年9月)(PDF)があり、それに今回の大筋合意はこちらと照らし合わせて確認できます。
法案概要
対象
1. AIシステムをEU域内で市場に投入する又はサービス提供するプロバイダー。設立場所がEU域内か第三国かは問わない。
2. EU域内に所在するAIシステムの利用者)。
3.アウトプットがEU域内で利用される場合、第三国に所在するAIシステムのプロバイダー及び利用者※業務以外の個人利用は対象外
リスクレベルと義務
リスクベースアプローチを採用し、4つのリスクレベルを設け、各々のリスクに応じた要
件・規制を設定
- 容認できないリスク(Unacceptable Risk)⇒原則禁止
- ハイリスク(High Risk)⇒厳格規制
- 限定的なリスク(Limited Risk)⇒限定的義務
- 最小限のリスク(Minimal Risk)⇒自主的な行動規範の推奨
※基盤モデルfoundation modelは別カテゴリ
一番身近なリスクアプローチの項目としては、生成AIの提供企業に、AIでつくられた内容であることを明示させるなど透明性の義務を課す箇所が特徴的。
罰則
対応を怠った企業には、最も重い違反の場合
- 3500万ユーロ(約54億円)
- 年間世界売上高の7%
のどちらかを上限に制裁金。
施行予定
今後、加盟国と欧州議会による正式な承認を経て成立し、2026年にも規制が完全に適用される見通
その他
AI規制サンドボックスといった、AIの開発・利用を活性化のための文言もあり
世界のAI規制動向
10月末にアメリカでの法規制がニュースになり、その際に記事にしています。
日本でも、G7「広島AIプロセス」 各国共通の基本的な方針に合意 | NHK | 生成AI・人工知能といったニュースが出たり、各国で、AI規制が課題とニュースになっています。
各国のAI規制動向と欧州連合AI規制案について こちらの記事を斜め読みしてみると
- EU←人権と製品リスクなどの「俺たちのAI」
- アメリカ←権利と経済のAI
- 中国←倫理(ここでは政府の敷く)と発展のAI
といった印象です。
AIが世界のバランスをどのように形作っていくのか、見ものです。
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